8足|地域コーディネーター

《なにもない》《影の薄い》町の観光を任されたボクの3年間。

このマガジンでは、2016年春から2019年春までの3年間。ボクが勤めた「市貝町観光協会」での出来事を書いていきます。

フジテレビからは「日本一影の薄い町」とレッテルを貼られ、住民も「ここには、なにもない」と言うこの町で、「観光振興」を任されたボクが、町の人口の6分の1になる2000人を集めるイベントを開催できるようになった背景。真っ向勝負は挑まずに、他とは違うことをして目立ってきた3年間の裏側をお伝えしていきます。

自己紹介

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ボクはそれまで、新潟県で自然ガイドをしていました。山岳ガイドではなく、公園のレンジャーのような感じ。来園する子どもたちに自然での楽しい過ごし方や、大人向けに自然暮らしの講座を開催していました。はたからみたら遊んでいるように見えるので、ボランティアと思われることもしばしばですが、それが本職。日々、子どもたちと野山で遊んで、ウグイスがホーホケキョと鳴いたのを書類に書き留めて、それでご飯を食べていました。

県内で最も新しい組織「市貝町観光協会」

市貝町は栃木県の小さな町。人口は県内で一番少なくなってみたり、下から2番目になってみたり。
春になると、東日本で最大級の敷地面積を誇る「芝ざくら公園」には、一面にピンクのじゅうたんが広がり、この期間中に人口の20倍もの人が押し寄せる場所でもあります。

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そんな観光名所があるにも関わらず、観光協会がなかった町。

というのも、このシバザクラが萎めば、この町の観光シーズンは終了。なにも、わざわざ観光協会のような組織を作らなくても、町の職員が対応することで「どうにかなってきた」ので「必要ないんじゃん?」と認識されていたのでしょう。

サシバに選ばれた町

この町に残る、シバザクラ以外の観光資源はなんだろう?

そう考えた時にこの町にあるのは「豊かな里山」!

どの地方も「ここには里山があって~」とPR文句にしていますが、元自然ガイドのボクが保証します。

ここほど豊かな里山は、ほかにはありません!

それを象徴するのが、サシバです。

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里山の環境を好むタカの仲間で、平地よりも山が好き。でも山奥すぎてもいけなくて、ほどほどの丘陵地帯に住む渡り鳥です。
タカというから、空を飛びながらビューンと他の鳥を襲ったりするのかとおもいきや、それは全然できないタイプ。人間が耕した田畑に出てきたカエルやヘビの近くにチョコンと飛び降り、歩いて捕獲。そんなのんびりタイプの狩りをします。

主食はカエルやヘビ。地べたを這いずる生き物が好物なので、人間が農作業したり、草刈りして地面が見える状態にしてくれると、サシバにとっては好都合。人間農業活動が盛んな場所で平べった過ぎず、山奥でもない場所。それが市貝町でした。

調査によると4km四方に22つがい(44羽)いたそうで、こんなにひしめき合ってサシバが生息しているところは市貝町にしかないそうです。

サシバがひしめき合って子育てしているということは、ここにはたくさんの食糧(カエルやヘビ)がいるということ。そのカエルやヘビも何かを食べて生きているわけで、それを支えるだけの豊かな環境が、この町にはあるのです。

グリーンツーリズムしようよ!

どこにも負けないくらいの自然資源はある。そしてこの町は農業の町だ。グリーンツーリズムという切り口なら、なんとか観光にできるのではないか?

あとは受け入れできる組織を編成して、外にPRすれば、明るい未来が待っているのでは?やっぱり、取りまとめてくれる組織ぐらい必要だ。そうだ、観光協会をつくろうじゃないか。

そうして2015年10月に市貝町観光協会が発足。
自然ガイド経験があって、実際にグリーンツーリズムの受け入れもしていたボクが2016年4月から事務局長に就任することとなったのです。

ABOUT ME
くますけ
好きを仕事にして10年。自然ガイド、ハンモック作家、写真家など10足のわらじを履いて暮らしています。