8足|地域コーディネーター

なにもない町の観光事業

お世辞にも観光資源が豊富でないこの町で、まるで北海道のように観光で食っていこうというのはやはり無理です。
ところが、そこを目指している人が一定数いるので、栃木の観光はいつまでたっても「こんな感じ」なのでしょう。

ぜひとも(北海道にある)このサービスを、この町にも!
どうして(北海道にある)こんな商品が、この町に無いのか?

結局どこかの「マネっこ」をしているので、観光客としては目新しさがない。2番煎じならまだしも、そうとう使い古された手法を脈々と「伝統」とか言って守り抜いているのが、いまいち盛り上がらない感の原因だと思っています。

北海道のとある町の観光協会の方とお話ししたところ、彼らは攻めてます。どこかの真似ではなく、自分たちで顧客が求めているサービスを見極め、失敗を重ねて、挑戦し続けています。

振り払えない固定観念

今でも観光と言うと

大型バスに乗って、名所名跡を訪ねて、おみやげセンターに寄って、帰る。

と言ったツアーを良しとする傾向が強いように感じます。実際「観光に力を入れている事例」で目にするのは、このタイプです。ザ・昭和な観光ツアーですね。

もう平成も終わろうとしているときに、昭和の観光を脈々と守る人たち。
その一派に入ってしまうと、沈没船に乗ったも同然。沈む一方です。

その点、市貝町は沈没船に乗っていません。賢い判断だったと思います。

もし、この町に巨大観光テーマパークを作って、おみやげセンターと大人数収容可能なお食事処を併設してたところでどんな現実が待ち受けていたでしょうか?

この近隣の市町に同様の事例がごろごろしていますので、

ボクからは「ご覧の通りです」

とだけ申し上げておきます。

ポスト平成時代の観光の姿

大型観光は北海道、京都、沖縄にだけ残るでしょう。あとの地域は、はとバスツアーのような形態がちょっと残るだけで、どんどん細分化されてくると考えています。

細分化とは具体的に「〇〇さんぽ」とか「カフェめぐり」とかいった感じです。各自の興味に特化したイベントの形になっていくことと思います。

そんなの観光じゃない!お金が落ちないじゃないか!

きっとそういうご意見も聞こえてくるでしょう。そうです。これからの観光は儲かる事業ではなくなるのです。その代わり、今まで関係のなかった産業に観光が入り込んでいくのだと思います。

農業に観光が入り込んだグリーンツーリズムがいい例です。
工業に観光が入り込んだ工場見学や、工場写真撮影ツアーとかも、観光化が進んでいくでしょう。

教育の現場に観光が入ったり、福祉に観光が掛け合わさったり、観光の概念そのものが変わっていくことでしょう。

先を行っている市貝町

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サシバの里の縁側めぐりは、これからの「観光」を示している良い事例です。

市貝町には縁側を持つお家がまだ多く残っています。その縁側に座って、家主の方とお茶を飲みながらのんびりするだけのイベントです。
訪問する人は、休憩料として300円払います。これが無料だと「タダで上がり込んで、もうしわけないなあ」と罪悪感を感じてしまうものです。
家主にとっても、1円にもならないのに、どっかの都会人とおしゃべりしたって何にもなりません。多少なりともお金を頂けるのであれば「それなら、ちょっといいもの見せてやろう」とか「いいもの食べさせてやろう」とか思うのです。

受け入れるお宅が、いつもの日常の生活のままを提供するので、訪問側も気楽でいられます。まるで、おばあちゃんちに帰った休日かのような時間が過ごせるのです。

おばあちゃんちに帰った休日かのような時間という価値を提供できている観光事業者は日本にどのくらいいるでしょうか?

ABOUT ME
くますけ
好きを仕事にして10年。自然ガイド、ハンモック作家、写真家など10足のわらじを履いて暮らしています。