冬の水辺の鳥がみるみるわかる|バードウォッチング豆知識

冬の水辺に行くとカモがぷかぷか浮かんでいるのを見ます
のんびりしてていいなあ〜
寒くないのかな〜
そして…
なんて名前なんだろう?よくわからないな〜
(そして通り過ぎる)
あー、なんてもったいない!
カモは面白いんですよ
ボクは時間が許す限りずっと見ていられます
カモの魅力を伝えられたらと思って
ここで身近に見られるカモたちを紹介していきます
オールシーズン見られる唯一のカモ|カルガモ

年に1回はニュースになるカルガモの行列
あの時小さかったヒナたちはすっかり大きくなりました!
今、池にいるカルガモたちは厳しい野生の環境を生き抜いたエリートたちなんです
実はあの行列のヒナたちのほとんどは命を落としていて、1羽も残らないこともあるんだとか
だいぶのんびりしている様子なのでとてもそんな風には見えませんけどね

くちばしの先が黄色いカモがカルガモです
おなじみの鳥なので、覚えてあげてください


ほかのカモは冬にだけ日本にいて、春になると北の涼しい国へ移動します。
それを「渡り」というのですが、カルガモは渡りません。ずっと日本在住。
カルガモは漢字で「夏留鴨」と書くそうです。夏も日本に留まるからってことですね。

ちなみにカルガモはドングリが大好きです。
鳥がドングリを食べるんですよ!面白いですね。オシドリやカルガモなどの水鳥たちは、陸に上がってパクパクとどんぐりを丸飲みしています。硬い皮もそのままだけど大丈夫みたいです。
しゃもじみたいなくちばしですけど、器用にどんぐりをついばんで、パクパク飲み込んでいく姿はもはや爽快!のどごし良さそうだな〜、先端の尖ってるところ引っかかったら痛そう…など、見ていて興味が尽きません。

ちなみに、カルガモをはじめ、これらのカモたちは人慣れしまくっているので、双眼鏡なしでも楽しく観察できます。
野鳥の多くは体が小さく、人間を怖がって遠くにいるので双眼鏡がないと観察できません。双眼鏡を買うにしても、そこそこ良いお値段だったりもするので、双眼鏡なしで観察できるカモたちは初めてのバードウォッチングにおすすめです!
頭が緑。カモの中のカモ|マガモ

ボクの恥ずかしい勘違いの話なんですが、カルガモが育つとマガモになるって思ってたんです。
そもそもカモに何種類もいるなんて知らなかったし、名前のイメージで軽カモ→真カモで出世した感じがするじゃないですか!軽いチャラチャラした若いカモだったけど、中身の詰まった真のカモになりましたよ的な(笑)
まあ、もちろんカルガモとマガモは別の種類の鳥で、カルガモと違って頭が緑色なのでわかると思います

マガモのおしりにぜひ注目しましょう。イラストはちょっと大きく描きすぎましたが、くるりんと丸まった尾羽が見つかると思います。これはオスだけに見られる尾羽で、寝癖とかではなく、ちゃんとした羽なんですよ!

マガモの体重はダイコンと同じくらいです。だいたいダイコンは1kg前後なのですがマガモも1kg前後。
カモはネギ背負って来ますけどダイコンも合いますね。

ちなみに、CMでおなじみのアフラックに出てくるアヒルは、先祖がマガモです。

マガモたちのおしりが、これまたかわいいのでオススメです!
完全に潜って泳ぐのが苦手なマガモは頭だけ水中に入れてエサを探します。
その時はおしりがけが水面に出ていて、もふもふのタケノコが生えたようです。その愛らしい姿をぜひ、探してみてください。
小さなカモだけどじつはずっしり|コガモ

カモの鳴き声はグェーグェー、ガーガーなど、あまり鳴き声を聞いたことない人でも聞けばすぐに「あ、カモだ」とわかる声です。
しかしコガモは違います。ピリッピリッと鳴きます!
これがかわいい。
笛のような音がするのでまさかカモの声とは思えないほどです。
あ、念のため言っておきますがコガモは何かのカモの子どもではなくコガモという種類で大人のカモです。

ちなみにコガモの重さは缶ジュース(350ml)です
マガモ、カルガモに比べたら小柄なのでなんとなく軽いイメージでしたけど、そこそこズッシリしてますね。
シュッとしたカモ|オナガガモ

名前の通り、尾が長いのが特徴。水面からピーンと伸びている尾が確認できたら、それはオナガガモです。
ところが、秋ぐらいに日本に渡ってきたばかりの時はここまで尾は長くありません。オナガガモなのにオナガクナイカモなんですが、春が近づくにつれ尾が伸びてきます。

また、池に常駐している「いつものメンバー」ですが実は別の個体に入れ替わっているそうです。だいぶアクティブな性格のようで半径数十kmは余裕で移動しています。
国内でその距離を移動しちゃうくらいですから渡りの時はもっとダイナミックです。夏場はユーラシア大陸やアメリカ大陸のツンドラ地帯で子育てをして「さあ、越冬だ南へ行くぞ!」って時は「去年はカリフォルニア行ったけど、今年は日本にしようっと〜」と言った感じで、毎年あっちこっちへ行くみたいです。
ところで水の中にいて足は冷たくならないのか。不思議に思いませんか?

寒い冬。水に浮いてる鳥たちは、大丈夫なのだろうか?足は冷たくないのだろうか?と思ったら
ちゃんと冷たかったです!
足先の温度は、なんと5℃!でも大丈夫。体温は40℃とぽっかぽか。凍えて死ぬことはありません。
体はしっかり温めて、どうせ冷えてしまう足先は冷やしっぱなしの作戦のようです。なので、しもやけにもなりません。
ちなみにこのイラストのカモは「ヒドリガモ」です。
防寒対策ばっちり|ハクチョウ

首に巻くマフラーのあり、なしでは寒さの感じ方が全然違いますが、ハクチョウも同じみたいです。あの長い首〜頭にある羽毛の数は2万枚!それに比べて体は5000枚。
ギッチギチに羽毛で覆って防寒対策しています!
ハクチョウの首を触ったことはないのですが、きっとガマの穂のようにぎゅうぎゅうになってるのでは?と想像しています。

大きな真っ白の鳥が空を飛んでいると「あ!あれはツル?ハクチョウ?」と思いますよね〜
そんな時、チェックして欲しいのは「首が伸びてるか、曲げてるか」です。
おそらくほとんどが首を曲げていると思います。首を曲げていて真っ白の大きな鳥はサギです。
そしてツルは関東地方にはいません。簡単に会える鳥ではないので候補から削除。そして、もし首が伸びていたら、それはハクチョウかもしれません!
くちばしを隠してこうしている姿は

カモも、ハクチョウも分厚い羽毛があるので身体の保温は完璧。でも、くちばしは羽毛で包めないから寒いんです。
だから背中の羽毛の中に隠します。人間がポケットに手を入れておくのと同じですね!
あと、昼間に見に行ってもこの状態でちっとも起きてこないことがあります。カモの多くは夜行性で昼は池にぷかぷか浮いて寝てるんです。
バードウォッチングを始めるなら冬がベスト!
バードウォッチングを始めるなら冬が一番いい季節です。今回紹介したカモのように比較的体が大きく、基本ぷかぷか浮いているので観察しやすいからです。また双眼鏡なしでも、だいたいわかるので「バードウォッチングはじめてみたいけど、双眼鏡買うほどではないんだよね」という方は、まず冬のカモから始めてみるといいカモしれません。